
根抵当権のある相続

相談内容
父の相続が発生しました。生前、父から借り入れがあるとの話は聞いています。登記簿を見たら、2億円の借り入れの記載がありました。相続を放棄したらよいか迷っています。
当事務所からのご提案&サポート内容
このご相談は、結果としては、プラスの財産が多く、通常の相続をすることになりました。ただし、ここで注意いただきたい内容が判明しました。お父様の借り入れが、通常のイメージされる借入と違い“根抵当権”が設定された借り入れでした。
ポイント
まず、根抵当権設定のある借り入れとは、何でしょうか。
・あらかじめ借り入れの極度額(上限金額)を定め、その範囲内であれば不動産などを担保にして何度でも借り入れや返済ができる仕組みの借り入れです。
- 企業や個人事業主が事業資金の調達で、資金繰りのために何度も借りたり返したりする場合によく利用されます。
- 融資額の上限(極度額)を超えない範囲で、返済と再借入を繰り返すことができ、借り入れを完済しても合意がなければ根抵当権は自動的に消滅しません。
お父様は、アパート経営をされていて、その資金調達のために根抵当権設定をして借り入れを行っていました。そして、相続人の方は借り入れが2億円あるとおっしゃっていましたが、登記簿の極度額をみられてのお話でした。実際は、借入残額は半分以下でした。
しかし、残額のある根抵当権には注意が必要です。
- 根抵当権をそのまま相続する場合は、相続開始から6カ月以内に以下の登記を行う必要があります。6カ月以内に手続きをしないと、根抵当権の元本が確定し、以後は通常の抵当権と同じ扱いになり、繰り返しの借入ができなくなります。
- 6か月を経過してしまった場合でも残額の借り入れを継続したいときは、新たに借り入れをして抵当権の設定が必要となるため、残額が大きい場合には、これらの手続き費用の負担が重くなります。
まとめ
相続が起きてしまうと、いろいろな手続きが一気に降りかかってきていまします。その中で期日や費用負担を考えて優先順位をつけることは、知識がないと非常にストレスです。
このように借り入れが場合には、ご相談を早めにされることをお勧めいたします。
今回の事例も、相続人様は、急いで遺産分割を成立させ、何とか期日には間に合いましたが、期日に追われるストレスはかなりのものだったとおっしゃっていました。
また、相続人の方にそのような心配をさせないためには、遺言を活用することで回避することが可能です。今回のお父様の遺されたアパートも相続税の負担を減らしてあげたい想いから借り入れをしての計画だったそうです。ですが、税金ばかりに着目してばかりでは、対策も片手落ちになってしまうことがあります。何事も、あらゆることを考えての事前の準備が重要です。
この記事の執筆者

- エスペランサグループ 代表社員 税理士 吉田 博幸
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保有資格 税理士 経歴 岡崎・名古屋・豊川など愛知県下に4拠点を展開する税理士法人エスペランサの代表社員。平成2年税理士登録以降、数多くの税務相談、相続・事業承継案件に取り組む。平成26年には、名古屋駅に資産税専門の「相続ラウンジ」を開設し、相続や事業承継支援で高い評価を得ている
また、資格専門学校の税理士講師も30年以上歴任し、後進の指導にも力を入れている。
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